【はじめに|火のそばに、ひとりの夜】
夜10時を過ぎた頃、ガレージの奥に静かに灯りをつける
誰かと飲むわけでも、特別な日でもない。
ただ、少しだけ炭を起こして、ひとり分の肉を焼く──
それだけのために開けるシャッターが、心地いい。
【炭火という“スイッチ”を入れる】
火起こしの音は、生活のノイズを打ち消してくれる。
パチパチと爆ぜる音。
うっすら立ちのぼる煙。
それだけで、ガレージという場所が
いつもの「作業場」から「夜の食卓」へと姿を変える。
炭火は、派手じゃない。
でも、確かに“今から始まる”という合図になる。
【焼くものは、ほんの一人前】
冷蔵庫に残っていた豚ロースを一枚。
厚めの玉ねぎを一つ。
フライパンでもよかったかもしれないけれど、
あえて炭火で焼く理由は、ただひとつ。
「静かな贅沢」を味わうため。
炭の香りをまとった一口は、
どんな調味料よりも深い。
【道具と対話する、深夜の手元】
鉄製のグリル網は使い込むほど味が出る。
焼き面のムラさえも、俺だけのパターンだ。
トングを握る感触、
温度で変わる肉の張り、
焼きすぎないように、ときどき裏返して、
ときどき、ただ見つめる。
この時間こそが、“手を動かす人間”にとっての休息だ。
【ガレージという“深夜食堂”】
静かな音。
炭の光。
工具棚の奥から響くような、
古いブルースをかけてみる。
椅子に腰掛けて、グリルの火を眺めながら
ひと口ずつ味わう。
誰かに見せるでもなく、
誰かと話すでもなく、
ただ、自分と、火と、道具と向き合う。
そう、このガレージは“深夜食堂”なのだ。
【片づけまでがBBQ】
食べ終わったら、火を落とし、
残った炭を缶に収め、網を軽く拭く。
焼けた香りが残る空間を背に、
ゆっくりとシャッターを閉める。
今日もまた、
“整った時間”を味わえたことに
ひとり、満足する。
【まとめ|焼くことで、夜が整う】
昼間の喧騒も、作業の疲れも、
炭火の向こうで静かにほどけていく。
火を起こし、肉を焼き、道具を使い、
静かな夜に包まれて、
また明日が始まる。
それが、俺の“ガレージBBQスタジオ”の夜。